優良産廃処理業者認定制度とは?優良認定されるためには手続が必要?

産業廃棄物処理業者には優良産廃処理業認定制度というものがあります。優良認定されると様々なメリットがあるため、優良認定されたい事業者の方も多くいらっしゃるかと思います。

この記事では、優良産廃処理業者認定制度について、また優良認定されるメリットや認定基準、さらには優良認定の手続の流れなどを解説させていただきます。

優良産廃処理業者認定制度とは?

まずは優良産廃処理業者について見ていきましょう。

優良産廃処理業者とは、知事に能力や実績があると認定された事業者のことで、優良認定業者ともいいます。(※この記事では、以下、優良認定業者とします)

優良認定業者は、2010年の廃棄物処理法改正に基づいた制度から誕生しました。この制度が優良産廃処理業者認定制度です。

そして優良産廃処理業者認定制度とは、次のような制度になります。

優良産廃処理業者認定制度

優良産廃処理業者認定制度とは、産業廃棄物処理業の実施に関し優れた能力及び実績を有する者の基準に適合する産業廃棄物処理業者を各自治体の知事が認定し、産業廃棄物の排出事業者が優良認定業者に産業廃棄物の処理を委託しやすい環境を整備することにより、産業廃棄物の処理の適正化を図ることを目的とする制度のことです。

また似たような制度で「産廃エキスパート」や「産廃プロフェッショナル」という制度がありますが、それらは東京都が独自に実施している制度なので、混同しないように気をつけましょう。

優良認定業者に認定されるメリット

優良認定業者に認定されると何かメリットがあるのでしょうか? ここでは優良認定業者に認定されるメリットについて説明します。

優良認定業者に認定されると次のようなメリットがあります。

優良認定業者に認定されるメリット

  • 通常5年間の許可の有効期間が7年間に延長される
  • 許可証に優良認定マークがつくため、優良な産廃業者であることを排出事業者にPRできる
  • 財政投融資で優遇される
  • 環境配慮契約法に基づき国等が行う産業廃棄物の処理に係る契約で有利に取扱われる

いくつか補足説明します。「財政投融資で優遇される」とは、株式会社日本政策金融公庫が行ている、中小企業が産業廃棄物の処理に関連する施設を取得するための貸付制度(環境・エネルギー対策資金)において、通常よりも低利率で融資を受けられるというメリットのことです。

「環境配慮契約法に基づき国等が行う産業廃棄物の処理に係る契約で有利に取扱われる」というのは、国等が行う「環境配慮契約法」の対象に産業廃棄物の処理に係る契約が追加され、入札条件において優良認定業者が有利になる仕組みになっているというメリットです。

上記以外にも、自治体によっては申請時の添付書類を一部省略できるなどのメリットもあります。

優良認定された事業者は、かなりメリットがあることがわかります。

では、優良認定されるための基準はどういうものなのでしょうか? 次で説明します。

優良認定業者の認定基準

優良認定業者の認定基準は以下の5つになります。

認定基準

  • 遵法性
  • 事業の透明性
  • 環境配慮の取組の実施
  • 電子マニフェストの利用
  • 財務体質の健全性

上記の5項目に設定された基準にすべて適合していなければ認定されません。どのような基準なのかは、次に一つずつ説明していきます。

認定基準① 遵法性

認定基準の一つ目の「遵法性」とは、「一定期間」において、「特定不利益処分」を受けていないという基準のことです。

特定不利益処分とは、廃棄物処理業に係る事業停止命令や廃棄物の不適正処理に係る改善命令・措置命令などのことです。

また一定期間は、初めて優良認定申請をする事業者と、既に優良認定をされていて再度優良認定申請をする事業者で異なります。

初めての事業者は、従前の許可の有効期間である5年、または直近の5年間のいずれか長い期間となります。

既に優良認定されている事業者は、従前の許可の有効期間である7年、または直近の5年間のいずれか長い期間となります。

両事業者ともに、その期間内に特定不利益処分を受けていないことが基準です。

認定基準② 事業の透明性

二つ目の認定基準は「事業の透明性」です。これは、法人の基礎情報、取得した許可の内容、産業廃棄物の処理状況などの情報を、「一定期間継続」してインターネットを利用して公表し、「所定の頻度」で更新していることが基準となります。

「一定期間継続」は、初めて優良認定申請をする事業者と既に優良認定されてる事業者で期間が異なります。

初めての事業者は、優良認定申請の日前6カ月、既に優良認定されている事業者は、優良認定業者としての許可を受けた日から当該申請の日までの間となります。

また東京都の場合、「所定の頻度」で更新しているという基準が、公表される情報ごとに細かく設定されているため、東京環境局のホームページ等でしっかりと確認するようにしましょう。

認定基準③ 環境配慮の取組の実施

三つ目の認定基準である「環境配慮の取組の実施」とは、ISO14001、エコアクション21等による認証を受けていることです。

これにはエコアクション 21 と相互認証されている認証制度の認証を受けていることでも問題ないとされています。

認定基準④ 電子マニフェストの利用

四つ目の認定基準である「電子マニフェストの利用」は、電子マニフェストに加入しており、電子マニフェストが利用可能であることが基準になります。

認定基準⑤ 財務体質の健全性

最後の認定基準は「財務体質の健全性」です。東京都の場合は以下の4つの基準に適合していることを求められます。

財務体質の健全性の4つの基準

  • 直前3年の各事業年度のうちいずれかの事業年度における自己資本比率が100分の10以上であること
  • 直前3年の各事業年度における経常利益金額等の平均値が0を超えること
  • 産業廃棄物処理業等の実施に関連する税、社会保険料及び労働保険料(都内の事務所・事業所について納税義務があるものに限る)について、滞納していないこと
  • 都内の最終処分場について積み立てるべき維持管理積立金の積立てをしていること

上記の基準にすべて適合している必要があります。

優良認定の基準は以上になります。優良認定の5つの基準に適合するためには、日頃から基準を意識して事業を行うことが重要です。

優良認定業者に認定されるための手続

ここまで優良認定業者に認定されるメリットや認定基準などを解説してきました。ここからは認定されるためには、どのような手続が必要なのか見ていきます。

優良認定業者の認定の手続きの流れ

優良認定業者に認定されるためには申請をする必要があります。そして優良認定の申請は更新許可申請と同時に行います。具体的な手続きの流れは次のとおりです。(※東京都で優良申請をするときの流れです。他道府県の方はそれぞれの自治体で確認してください)

①更新許可申請書と優良認定申請書の作成
収集運搬業と処分業の場合は、あらかじめ事前計画書の提出が必要になるので、窓口で相談しましょう
②更新許可申請の予約
予約時に優良認定申請書を提出することを必ず伝えます
③更新許可申請書と優良認定申請書の提出
窓口で書類を確認してもらいます(※2時間ほどかかる場合もあるので、時間に余裕をもって行くようにしましょう)
④審査
審査期間は約80日です(この期間に土日祝日、年末年始は含まれません)
⑤許可証の交付
更新許可基準適合、優良基準適合と認められると、「優良マーク」が記載された更新の許可証を交付されます

東京都の場合、申請書の作成から優良マークが記載された許可証の交付までは上記のような流れになります。

ちなみに申請にかかる手数料は、更新許可申請の手数料だけで優良認定申請はかかりません。

まとめ

優良産廃処理業者認定制度などについて解説させていただきました。疑問は解消されたでしょうか?

優良産廃処理業者認定制度とはどのような制度なのか、またメリットや認定基準、申請手続きの流れなどをご理解いただけたかと思います。

またこの記事に書かれたこと以外に、優良産廃処理業者認定制度のことなどで疑問に感じることなどがあれば、管轄の行政庁や産廃業許可を専門にしている行政書士に相談されることをおすすめします。

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