建設系産業廃棄物とは?
建設業の現場では数多くの廃棄物が排出されます。また工作物の新築や改築の建設工事の場合、木くずや繊維くずなどの産業廃棄物が排出されています。
ではそれらの建設工事に伴って排出される廃棄物はすべて建設系産業廃棄物なのでしょうか?
この記事では、建設系産業廃棄物とはどのような廃棄物のことなのか、また建設系産業廃棄物の処理責任について解説させていただきます。
建設廃棄物とは?
建設系産業廃棄物の解説をする前に、建設廃棄物について見ていきましょう。
建設工事に伴って排出される廃棄物は建設廃棄物と呼ばれています。また廃棄物は一般廃棄物と産業廃棄物があり、建設廃棄物も同じように一般廃棄物と建設系産業廃棄物に分類することができます。
建設工事で排出される一般廃棄物にあたるものは、現場事務所などで廃棄する雑誌や生ごみなどです。
それ以外にも河川堤防や道路の表面等の除草作業で発生する刈草、道路の植樹帯等の管理で発生する暫定枝葉などが、一般廃棄物に分類されます。
では建設系産業廃棄物はどのような廃棄物なのでしょうか?
建設系産業廃棄物とは?
まず産業廃棄物がどのような廃棄物なのかを簡単に説明します。
産業廃棄物は事業に伴い排出された廃棄物のことです。また産業廃棄物にあたる廃棄物は指定されていて20種類あります。この20種類に該当しない廃棄物は産業廃棄物ではなく、一般廃棄物となります。
詳しくはこちらをお読みください
話を建設系産業廃棄物に戻します。つまり建設系産業廃棄物とは、建設工事で排出した廃棄物のうち、産業廃棄物に指定された20種類に該当する廃棄物ということです。
また産業廃棄物に指定されている20種類のなかに、業種を指定しているものもあり、建設工事が業種指定されている産業廃棄物もいくつか存在します。
例えば紙くずは業種指定されている産業廃棄物の一つで、工作物の新築や改築の建設工事に伴い排出された紙くずは産業廃棄物になります。一方、工作物の新築などの建設工事に伴わない現場事務所で廃棄された書類などは、紙くずですが産業廃棄物にはなりません。
建設系産業廃棄物の具体的な例を挙げると、木くず・金属くず・汚泥・がれき類などがあります。
建設系産業廃棄物の処理責任
ここまで建設系産業廃棄物について解説させていただきました。建設系産業廃棄物と言っても産業廃棄物に代わりありません。では、なぜ産業廃棄物と区別する必要があるのかを次に説明します。
産業廃棄物は原則として、産業廃棄物を排出した事業者が処理をすることとされています。しかし建設工事では元請業者や下請業者が入り組んだ状態で工事をしていることが多いため、誰が排出事業者なのかが非常に分かりにくい状態です。
そのため、建設系産業廃棄物は発注者から直接工事の発注を受けた「元請業者」が産業廃棄物の処理責任を負うものと定められています。
建設系産業廃棄物の処理責任で気をつける点
建設系産業廃棄物の処理責任は「元請業者」になるので、「元請業者」が現場で作業をしておらず「下請業者」だけが排出した産業廃棄物であっても、「元請業者」が処理をしなければいけません。
またこの場合、排出事業者が「元請業者」となる以上、「元請業者」は産業廃棄物収集運搬業の許可なしで収集運搬ができます。一方「下請業者」が収集運搬するためには、産業廃棄物収集運搬業の許可が必要になるので気をつけなければいけません。
下請業者が排出事業者になれる例外規定
下請業者が産業廃棄物の収集運搬をするためには、先ほど説明したように許可が必要になりますが、徹底すると現実的には支障が出てしまうケースがあります。
そのため次の5つの条件にすべて該当する場合は、例外的に「下請業者」が排出事業者となり、許可なしで収集運搬ができます。
下請業者が排出事業者になれる条件
- 建物の軽微な修繕維持工事で、請負代金が500万円以下の工事
- 特別管理廃棄物ではないこと
- 1回に運搬する廃棄物の容積が1立方メートル以下であること
- 積替えのための保管を行わないもの
- 「請負契約」であらかじめ、下請が自ら運搬する廃棄物の種類その他を定め、さらに運搬の途上でその契約書の写しを携行すること
上記5点の条件を満たすことで、「下請業者」が例外的に排出事業者となることができます。
まとめ
建設系産業廃棄物について解説させていただきました。疑問は解消されたでしょうか?
どのような廃棄物を建設系産業廃棄物というのか、また建設系産業廃棄物の排出事業者は「元請業者」であることなどご理解いただけたかと思います。
またこの記事に書かれていること以外で、建設系産業廃棄物について疑問をお持ちの方は、管轄の行政庁や産廃業を専門にしている行政書士に相談することをおすすめします。