産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル制度とは?

東京都で産業廃棄物処理業を営んでいる方なら、一度は産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルという名称を聞いたことがあるかと思います。

では、この産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルとはどのような制度なのでしょうか? また環境省が設けている優良処理業者認定制度というものがありますが、それとは何が違うのでしょうか?

この記事では、産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル制度について解説させていただきます。

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル制度とは?

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル制度とは、東京都が独自で設けている制度です。平成21年10月から開始されました。

制度の目的は、優良な処理業者を認定することで、排出事業者に信頼できる処理業者の情報を提供できるようにし、優良な処理業者を育成することなどです。

産廃エキスパートと産廃プロフェッショナルの違いは、認定される審査基準が産廃エキスパートと産廃プロフェッショナルで異なっており、産廃エキスパートのほうがより厳しい基準で認定されています。そのため、産廃エキスパートは産廃プロフェッショナルの上位に位置づけられているといえます。

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル制度は前述したように、東京都が独自に設けている制度ですが、似たような制度に、環境省が設けている優良処理業者認定制度というものがあります。

では、この2つの制度の違いはどこにあるのでしょうか?

環境省の優良処理業者認定制度との違い

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル制度と環境省の優良産廃処理業者制度との違いは次のとおりです。

東京都環境省
名称優良性基準適合認定制度優良処理業者認定制度
開始年月日平成21年10月開始平成23年4月1日施行
申請資格東京都または八王子市もしくはその両方の産業廃棄物処理業の許可を有し、都内での事業実績が1年以上の者都道府県の産業廃棄物処理業の許可を有し、事業実績が5年以上の者
審査項目
(要件)
産廃エキスパート、産廃プロフェッショナルの2種類があり、必須項目と選択式加点項目がある。
選択により評価項目数が増減する。
(1)遵法性
(2)安定性
(3)先進的な取組(産廃エキスパートのみ)
(4)専門性(感染性廃棄物取扱のみ)
産廃エキスパート(第1種)では、環境省の制度の項目を包括的に反映しています。
すべてが必須項目
(1)遵法性
(2)事業の透明性
(3)環境配慮の取組
(4)電子マニフェスト
(5)財務体質の健全性
審査手法東京都知事既定の第三者評価機関の評価員が書面審査および現地審査により認定許可権者(都道府県知事または政令市長)が書面審査により認定
認定期間新規申請者:2年間
更新申請者:3年間
7年間
申請料金10万~20万円程度無料
許可証の表示産廃エキスパート、産廃プロフェッショナルロゴマークの表示「優」の表示

東京都と環境省が設けているどちらの制度も、優良な産廃処理業者を認定するものですが、認定期間や申請料金などかなり多くの違いがあることがわかります。

では東京都で事業を営んでいる亊業者はどちらの制度を利用すればいいのでしょうか?(事業実績が5年以上の事業者であることが前提です)

上記の表を見比べるだけでは、選択することが難しいかと思うので、次に産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルを取得するメリットを説明させていただきます。

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルを取得するメリット

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルを取得するメリットは、主に3つあります。

取得するメリット

  • 厳しい審査基準をクリアした事業者であることをPRできる
  • 第三者評価機関により審査・認定されているので信頼を得られる
  • 現地で評価員による確認審査を受けているので安心感を得られる

いくつか補足で説明します。①に関してですが、産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル制度に認定されるためには、多岐にわたる審査項目をクリアする必要があります。さらに認定の取得は優良かつ任意であるため、自ら取得を目指す事業者は、意欲のある事業者であると排出事業者から見なされることでしょう。

②の第三者評価機関は東京都知事から指定された機関であり、その機関によって審査・認定された事業者は、排出事業者から信頼を得られることになるでしょう。

また③も評価員が現地で確認審査をするため、第三者の目で確認されているということで、排出事業者に安心感を与えることができるといえます。

またこれらの3つのメリットの他に、名刺などに産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルのロゴマークを使用できるなどのメリットもあります。

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルを取得するには?

ここまで産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル制度の概要などを解説してきました。ここからは、どのようにして産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルを取得するのかを見ていきましょう。

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル制度の対象者

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルを取得できる対象者は、都知事の産業廃棄物処理業の許可を取得している都内での実績が1年以上の者とされています。

また都知事の許可の区分は、収集運搬業(積替保管施設あり・なし共に)中間処理業が対象となっています。

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルの評価項目

次に評価項目を見ていきましょう。まず評価項目の評価事項数ですが、こちらは申請区分によって異なります。

また評価基準は東京都環境公社が定めています。この東京都環境公社が第三者評価機関にあたります。

評価項目は主に3つに分けられています。

評価項目

  • 遵法性(評価事項:6~10項目)
  • 安定性(評価事項:16~27項目)
  • 先進的な取組(評価事項:9~13項目)

いくつか補足で説明します。

①の遵法性の評価とは、法定要件・義務を確実に履行しているかどうかの確認です。支払う必要のある税金を滞納していないかなどを確認されます。

②の安定性の評価は、安定的で信頼性がある自主的な運営を行っているのかについての確認です。直前3年の各事業年度の自己資本比率が0%を超えているかなどを確認されます。

③の先進的な取組の評価は、環境貢献活動などの先進的な取組を行っていることを確認されます。許可車両として低公害・低燃費型の運搬車両や低公害型重機を導入していることなどで評価されることになります。

ちなみに③の先進的な取組は産廃エキスパートのみの評価項目です。

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルの申請手数料

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルの申請手数料は次のとおりです。

※積保は積替保管のことです。

収集運搬業(積保なし)
新規
収集運搬業(積保なし)
更新
収集運搬業(積保あり)
新規
収集運搬業(積保あり)
更新
中間処理業
新規
中間処理業
更新
エキスパート154,000137,500198,000181,500220,000198,000
プロフェッショナル110,00099,000154,000137,500176,000159,000

専門性(感染性廃棄物を取扱う場合)は上記の金額に加えて、33,000円が必要になります。

また収集運搬業と中間処理業の両方を申請する場合は、手数料が安い方が半額になります。

まとめ

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル制度について解説させていただきました。疑問は解消されたでしょうか?

産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル制度は東京都が独自に設けている制度で、環境省が設けている優良処理業者認定制度とは異なる制度であることや、産廃エキスパート・産廃プロフェッショナルを取得するメリットなどをご理解いただけたかと思います。

この記事に書かれてあること以外で、産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル制度について疑問に感じることなどがあれば、東京都環境局や産廃業許可を専門にしている東京都の行政書士に相談することをおすすめします。

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