【産廃業許可】二以上の事業者による産業廃棄物の処理の特例認定とは? 手続はどのように行えばいい?
産廃業の許可申請には、二以上の事業者による産業廃棄物の処理の特例認定というものがあります。
この二以上の事業者による産業廃棄物の処理の特例認定とはどのようなものなのでしょうか? また特例認定を受けるためにはどのような手続きを行う必要があるのでしょうか?
この記事では、二以上の事業者による産業廃棄物の処理の特例認定について解説させていただきます。
二以上の事業者による産業廃棄物の処理の特例認定とは?
二以上の事業者による産業廃棄物の処理の特例認定とはどのようなものかを解説する前に、まず覚えておいてもらいたいことがあります。
産業廃棄物の処理は産業廃棄物を排出した事業者が、自ら処理しなければならないと法律で定められていることです。
しかし近年では分社化等を行う企業が増加し、分社化前は自ら処理をしていたが、分社化によりできなくなる事態も増えてきています。
例えば、分社化した親会社が産業廃棄物処理業の許可を受けていたとしても、排出事業者が分社化してできた子会社の場合、子会社は許可を受けていないため新たに許可を取得するか、許可を受けた業者に委託しなければなりません。
そのような事態を避けられるように創設されたのが二以上の事業者による産業廃棄物の処理の特例認定という制度です。
一定の条件を満たすグループ企業がこの特例認定を受けることで、グループ内の1つの会社から排出された廃棄物について、グループ内のほかの会社も排出者としての権限を持つことができるようになります。
つまり先ほどの例でいうと、分社化された親会社も排出事業者となることができるということです。
特定認定を受けるメリット
排出事業者となることができる他にも、二以上の事業者による産業廃棄物の処理の特例認定を受けることでいくつかメリットがあります。
特定認定を受けるメリット
- 処理をする子会社の、産業廃棄物処理業の許可が不要になること
- 処理をする子会社の産業廃棄物処理については、契約・マニフェストが不要になること
- 処理をする子会社が複数ある場合は、複数の許可申請を1本化できること
またこの特定認定には期限がなく、更新申請が不要であることもメリットの一つです。
特例認定を受けることができる事業者の基準
特定認定を受けるためには、事業者が一体的な経営を行っている必要があります。
一体的な経営を行っていると認められるには、次の基準を満たしていなければなりません。
一体的な経営を行う事業者の基準
以下のA、Bのどちらかに該当していること
A 親会社が、子会社の発行済株式の総数、出資口数のすべて、出資価額の全額のいずれかを保有していること
B 次のすべてに該当していること
- 親会社が、子会社の発行済株式、出資口数、出資価額のいずれかを3分の2保有していること
- 親会社の従業員を、子会社に業務執行役員として派遣していること
- 親会社と子会社がかつて同一の会社であって、一体的に廃棄物の適正処理を行っていたこと
特定認定を受けるためには、上記の基準を満たす必要があるので、しっかりと確認をするようにしましょう。
特定認定の申請から審査・認定までの流れ
特定認定の申請から認定証の交付までは次のような流れになります。
- ①講習会の受講
- 申請の前に講習会を修了している必要があります
- ②申請書の作成
- 申請に必要な書類を収集し、作成します
- ③申請の予約
- 申請をするためには事前の予約が必要です
また予約は1ヶ月以上先になることもあるのでご注意ください
- ④申請
- 来庁して申請します
申請書の形式審査のあと、申請手数料を納付します
- ⑤審査
- 審査期間は約60日です(この期間には土日祝日はふくまれません)
また書類の修正や追加により、審査期間が延びることもあります
- ⑥認定証の交付
- 認定証の交付は窓口、郵送のどちらかを選択することができます
特定認定を受けるまで流れは上記のようになります。
審査期間が60日程度かかるため、余裕を持って申請するといいでしょう。
特例認定を受けるための必要書類
特定認定を受けるために必要な書類は次のとおりです。
必要書類
- 特定認定申請書
- 事業計画の概要
- 誓約書
- 定款または寄付行為の写し
- 法人の登記事項全部証明書
- 子会社の株主名簿
- 子会社(100%出資子会社をのぞく)に役員または職員を派遣していることを示す書類(派遣協定書、発令通知の写しなど)
- 子会社(100%出資子会社をのぞく)を分社化したことを示す書類(法人の登記事項全部証明書、分社化を決議した議事録の写しなど)
- 許可証の写し(収集運搬業、処分業、施設の許可を受けている場合)
- 役員・株主・政令使用人名簿
- 住民票抄本
- 法人の登記事項全部証明書
- 成年被後見人に該当しない旨の登記事項証明書
- 開始に要する資金の総額およびその資金の調達方法を記載した書類
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書
- 個別注記表
- 法人税の納税証明書「その1 納税額等証明用」
いくつか補足で説明します。
⑪ 住民票は本籍が記載されていてマイナンバーが記載されていないものです。また⑪と⑬は役員等、5%以上の株主または出資者、令第6条の10に規定する使用人のものが必要になります。
⑫ 法人の登記事項全部証明書は、5%以上の株主または出資者が記載されているものです。
⑮から⑲までの書類は直近3年分のものが必要になります。
必要書類の種類は多いですが、どれも申請するために大切な書類になるので、しっかりと収集・作成して提出するようにしましょう。
まとめ
二以上の事業者による産業廃棄物の処理の特例認定について解説させていただきました。疑問は解消されたでしょうか?
特例認定の制度を受けるメリットや基準、また特定認定を受けるための手続の流れなどをご理解いただけたかと思います。
この記事に書かれていること以外で、二以上の事業者による産業廃棄物の処理の特例認定について疑問などがあれば、管轄の行政庁や産廃業許可を専門にしている行政書士に相談することをおすすめします。