産業廃棄物処理業、いわゆる産廃業を行うには許可が必要です。そして産廃業の許可にはいくつも種類があります。

また許可を取得するためには要件をクリアする必要があります。

ここでは産廃業の許可の種類と取得するための要件を解説させていただきます。

産業廃棄物処理業の許可は8種類

産廃業の許可の種類は廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)で定められていて、全部で8つに分類されます。

8つの許可を大きく分けると「他人の廃棄物を処理して報酬をもらう」ための許可が6つ、「廃棄物を処理するための施設を設置する」ための許可が2つとなります。

産廃業許可の分類

<産業廃棄物>

  • 産業廃棄物収集運搬業許可
  • 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可
  • 産業廃棄物処分業許可
  • 特別管理産業廃棄物処分業許可

<一般廃棄物>

  • 一般廃棄物収集運搬業許可
  • 一般廃棄物処分業許可

<施設設置>

  • 産業廃棄物処理施設設置許可
  • 一般廃棄物処理施設設置許可

ちなみに廃棄物の種類に特別管理一般廃棄物というのがありますが、それらを扱う収集運搬業や処理業を行う許可は上記の8種類のなかにはありません。

これは許可を得ずに行ってはいいというわけではなく、特別管理産業廃棄物の同種類の許可を持つ業者がその業務を行うこととされているからです。

また施設設置は自社の廃棄物だけを処理する施設を設置する場合(外部の業者が廃棄物を運んでこない場合)でも施設の設置許可が必要になるので、注意が必要です。

産業廃棄物処理業の許可の取り方

ここからは産廃業の許可の取り方を解説していきます。産廃業の許可は誰から許可を受ける必要があるのか、また許可を受けるために必要な要件は何なのかを見ていきましょう。

産廃業の許可申請をする機関

産廃業の許可申請をする機関は許可ごとに異なります。

  • 産業廃棄物収集運搬業、産業廃棄物処分業(特別管理含む)は都道府県知事等の許可
  • 一般廃棄物収集運搬業、一般廃棄物処分業は市区町村長の許可

また産廃、一般ともに収集運搬業は廃棄物を積む場所と降ろす場所の両方の場所の許可が必要になります。

例えば積む場所が東京都で降ろす場所が埼玉県の場合は、東京都知事と埼玉県知事の許可が必要です。一般廃棄物も同様に異なる市区町村の場合はそれぞれの場所の市区町村長の許可が必要となります。

産廃業の許可申請をするときに気をつけるべき点

産廃業の許可申請をするときに気をつけるべき点は2つあります。

1つ目は特別管理産業廃棄物と産業廃棄物の許可は別々に行う必要があること。例えば特別管理産業廃棄物である「腐食性の高い廃酸・廃アルカリ」の許可を取得していても、産業廃棄物である「廃酸・廃アルカリ」を取り扱うことはできません。

なので取り扱う場合は産業廃棄物の許可を取得する必要があります。

気をつけるべき点の2つ目は産廃業の許可は産業廃棄物の種類ごとに許可を取得しなければいけないこと。もし許可後に申請漏れしていた産業廃棄物の種類を申請する場合は、「変更届」ではなく「事業範囲の変更許可」申請をすることになります。

この「事業範囲の変更許可」は手続きの面で新規申請と同じくらい時間がかかるので、必要な産業廃棄物の種類は申請漏れしないように気をつけましょう。

産廃業許可の要件

産廃業の許可を取得するために必要な要件があります。要件は許可ごとに少し異なってくるので、ここでは産業廃棄物収集運搬業許可の要件を見ていきます。

  1. 法人の場合、代表者および役員等が欠格要件に該当しないこと
  2. 法人の場合、代表者または役員が公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターの実施する講習会を修了していること
  3. 産業廃棄物の収集運搬に必要な車両・容器等の運搬施設を備えていること
  4. 産業廃棄物収集運搬業を的確かつ継続的に行うことができる経理的基礎を有していること

以上4つになります。これらの要件を満たしていないと許可を取得することができないのでお気をつけください。

まとめ

産業廃棄物処理業の許可について解説させていただきました。ご理解していただけたでしょうか?

産廃業は複数の種類の許可があり、また許可申請のときに気をつけるべき点も多々あります。複雑な手続きなので、少しずつ知識を蓄えて申請に臨みましょう!